お役立ちテクニック
ここでは犬猫を飼っていて日常役立つ、基本的なテクニックを紹介します。
投薬法
病院に通っていると、お薬を飲ませなければならないことが多いと思います。ごはんにまぜて食べてくれるよう
な時はいいのですが、食欲もない時が多いと思います。そんな時、各飼い主さんに出来る投薬法があれば、先
生に粉薬なら飲ませられます!錠剤だとうちは出来るわ、なんて言えますよね。
それに飲ませる事が出来ないと朝・晩、病院にお注射に通わなければいけない。なんて事になります。
そこで簡単な投薬方法をご紹介します。
*モデルはうちの愛猫、リンちゃんです。
液剤、または粉薬の投薬法
1、まず液剤ならそのまま、粉薬なら注射器に 2、顎の下にやさしく手をさし込み、少し上向き加減に
約1ccの水を吸い、薬包の中で水と一緒に させます。そして犬歯と臼歯の間の場所で、ゆっくり
粉薬を注射器に吸い上げます。 と流し込みます。ほら飲み始めたでしょ!
錠剤の投薬法
錠剤は、喉の奥にきちんと入れるのがポイントです。 少し上向き加減にして指先で奥に押し込みます。
そうしないと上手に吐き出してしまいます。 くれぐれも噛まれないように注意してください。
○で囲んだ舌の凹んだ所の奥に押し込みます。 入れた後も少しの間だけ上向き加減にしておくと
吐き出しずらいです。
目薬の点眼法
これも顎の下に手をいれ、少し上向き加減にします。この時顎下の親指で目の下の皮膚を下に引っ張っています。
次いで、反対の手の小指と薬指あたりで、目の上の皮膚を上に引っ張り目を開けさせます。そして後ろの方から
ポタンと1滴、目にたらします。目の前の方から点眼ビンが近づくと怖いですので、後ろからがポイントです。
このとき目を突付かないように注意して下さい。あふれ出た余分な目薬は、ティッシュ等でふき取ります。
爪きり
犬と猫の爪では、若干違いはありますが、基本的には同じだとして説明します。
爪切りには大きく分けて、ギロチン型とはさみ型の2つがあります。(下図参照)通常の爪切りではギロチン型を使用
して下さい。はさみ型は巻き爪など爪切りが入らないときに使用します。比べてみてみるとよくわかりますが、はさみ型
は刃の部分の幅が広く細かい調節が効きません、刃の間のどこで切れるかわからないです。ギロチン型はmm単位
の調節がつきやすいです。
上の右の写真が実際に切っている様子です。猫の場合は下から爪切りを入れて引っかかった部分だけ落とす程度
で充分でしょう。犬と違ってすぐ自分で噛んでとがらせてしまいます。
犬の場合は1度で切ろうとせずに少しずつ切るのがポイントです。透明な爪の子は分かりやすいですが、中の赤く見
える所が血管です。少し余裕をもって残しましょう。
爪はコンコルドの機首部分のように若干下がって伸びます。そこで爪の下の真っ直ぐなラインの延長線を引き、それよ
り下が切っていい部分になります。
歯磨き
歯磨きの方法を記載しようと思っていたのですが、よくまとまっている文献がありましたので、メーカーさんの了解を
取り転載させて頂きます。
1.早めに始めましょう
まずは早期から始めること。出来るだけ幼いうちから歯磨きというコンセプトを取り入れましょう。だからといって高
齢の犬や猫でも遅すぎることはありません。
2.触れられるのに慣れさせましょう
最初は口の周りを手や指で触ることから始めます。ペットが口の周りや鼻づらを触られることに慣れさせます。この
ときに、よく褒めてあげたり、‘ごほうび’をあげながら、できるだけ楽しく行う事を忘れないで下さい。最初は短時間で
切り上げ、徐々に時間を長くしていきます。ペットに行う歯磨きは5分以上行う必要はないので、練習もそれ以上になら
ないようにしなければなりません。もしペットが少しでも嫌がり始めたらすぐに中止し、また時間を置いてから試してみま
す。トレーニングを終える時は常に嫌なイメージが残らないようにします。
3.歯磨き粉を使ってみましょう
次は歯磨き粉を使ってみます。動物用の歯磨き粉が何種類も市販されています。動物用の歯磨き粉のおもな役割
は、歯をきれいにするのではなく、むしろ歯磨きが楽に出来るように動物の好みの味がついているのです。最初はペ
ットには磨き粉の味に慣らせることから始めます。まず指に歯磨き粉を塗り、ヒトが歯磨きをするときのようにやさしく
指でこすります。
犬歯から始めてゆっくりと口全体へ広げていきます。歯だけでなく歯茎も同様にこすり、そして常に褒めてあげることも
忘れないようにしましょう。
ここまでのステップを終えるのに毎日2〜3分間、2〜3週間かかることもあります。すぐに出来なくても諦めずに続けれ
ば必ず出来るようになります。
4.歯ブラシに慣れさせましょう
次は歯ブラシを使ってみます。動物の歯をきれいにするのは歯ブラシの機械的作用であるため、ここが一番肝心な
ところです。犬専用の歯ブラシも販売されていますが、小児用歯ブラシでも充分に代用できます。
歯ブラシを始める前に毛先を湿らせ、ブラシには磨き粉をのせてからしっかりとブラシに押し付けます。(写真1)
ペンと同じように歯ブラシを持ち(写真2)、ペットが歯ブラシを嫌がらなくなるまで最初の数日は犬歯をやさしく上下に
ブラシする事だけを心がけます。(写真3)
5.奥歯から磨いてみましょう
4までの手順を動物が受け入れるようになったら、今度は円を描くようにやさしくブラシを動かしながら、上の歯を犬歯
から奥歯まで磨いていき、左右ともこれを繰り返します。ただし最初は、前歯は避けるようにします。(写真4a,4b,4c)
少しずつ歯磨きの時間を長くして、歯に当てる力を強めていきます。ペットも飼い主も歯磨きに慣れてきたら、上の歯で
行ったことを今度は下の歯でやってみます。
ここまで出来るようになるにはペットにより数日から1ヶ月かかることもあります。どんな時もペットを褒めることを忘れずに。
6.最後に前歯を磨いてみましょう
最後は前歯のブラッシングです。犬の場合は、呼吸を妨げないように中指を鼻の上、人差し指を鼻腔と上唇の間、
親指を下唇の上に当てます。(写真5a,5b)
こうする事で、飼い主がペットの頭と唇をコントロールしながら上下に歯ブラシする事が出来ます。
猫の場合は、手のひらで猫の頭部を優しく包み、親指と人差し指で上顎を掴むように保持します。(写真6a,6b)
*ヒト用の歯磨き粉を犬や猫には使ってはいけません。人用の歯磨き粉にはフッ素や発泡剤が含まれており、犬猫の
胃には刺激性があります。また人間と違い動物は口中の物を吐き出すことが出来ません。
Vets Plan News より転載 ウォルサム研究所 Fiona Redfrn VN・Alex Bruce VN
肛門腺絞り
犬、猫の肛門の両側に肛門嚢という分泌腺があります。有名なのはイタチやスカンクで「イタチの最後っ屁」なんて言わ
れていますが、オナラではなくこの分泌腺によるものです。非常に臭い分泌液を排出します。
基本的には排便時や興奮した時などに自然と排出されると言われていますが、特に小型犬や肥満犬ではうまく排出で
きずに溜まっていることが多いです。猫ではほとんど問題になることはありませんが犬では定期的に絞り出してあげる
必要があります。
重度に溜まってくると不快感があるのかしきりに地面にお尻をこすり付けるような独特の仕草や、しきりにお尻を追って
舐め回したりします。
肛門周囲は通常でも便や細菌などで汚染されやすい環境であり、肛門嚢の何らかの原因による閉塞や細菌感染など
を起こすと肛門嚢炎を起こし、ひどい場合は肛門嚢の化膿を起こし、発熱や食欲低下などの症状を起こし、症状が進
行すると肛門周囲が自壊し穴が開いてしまうこともあります。
そのため定期的に肛門嚢の内容物を絞り出してやる必要があります。
ここでは写真を使ってその手技を御紹介致します。
ただこの手技には熟練が必要となりますのでじっくりと練習しましょう。
(ご要望があれば病院でも指導しますのでお気軽にご相談くださいね。)
今回モデル犬になってくれたのは一茶(イッサ)君です。
ビーグルとゴールデンとハスキーの雑種の男の子です。
現在3ヶ月の子犬です。
ちょっと臆病さんですが可愛い子ですねー(^o^)
手技
肛門嚢の位置を赤丸で示しました。 肛門の左右、4時と8時の位置の皮膚の下ににあり肛門の下 部に開口しています。(開口方向を赤線で示しました。) 尾を上に持ち上げると肛門がやや後方に突き出し肛門嚢を触知 し易くなります。 |
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まず肛門の下方の左右を良く触り肛門嚢を確認して見て下さい。 ぷっくらとふくれた感触が指先に感じるとおもいます。 親指と人差し指で上記の場所を触ってみてください。 ここで触知できるかが重要です。膨らみ具合が分からないと圧迫 する場所も分かりませんし、どこで絞り終わるかの判断も出来な いと思います。繰り返し触ることが重要ですよ。 |
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病院でも良くご指導するんですが適当に肛門周囲を力任せに つねっている方がいますが、強い力は必要ありません。 先ほど触ったふくらみを下から上に絞りあげる様に圧迫します。 例えて言うと歯磨きのラミネートチューブを絞り上げるような感触 でしょうか。 肛門の上に見える茶色い液体が肛門嚢液です。 |
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やや上方から見た所です。 飛び散ると容易に臭いが消えませんので初めは汚れても良い場 所でティッシュやトイレットペーパーを使用してよくガードし行って ください。 肛門嚢液は個人差があり液体状の子も練り歯磨き状の子もいて 固さも様々です。固めの子ほど初めは絞りづらいと思います。 頑張ってチャレンジしてみて下さいネ。 |